五臓③ 脾
脾胃は倉廩の官といわれています。
倉廩とは穀物を蓄えておく倉のことです。
五行説で土に配当されている脾と胃は
臓と腑として多くの部分で共同作業を
行っていますので、脾単独ではなく
”脾胃”と表記されることも多いです。
何度かご紹介していますが、東洋医学で
脾といった場合は消化器系のことだと
思ってください。
現代医学での脾臓は左上腹部に位置し
老化した赤血球の破壊・除去や免疫に
関与するまったく別の臓器です。
脾という漢字が伝来したとき、意味が
取り違えられてしまったらしいです。
脾の主な生理作用は
「運化をつかさどる」
「昇をつかさどる」
「生血する」
「統血する」
などです。
運化とは食物を消化して栄養に変化させ
身体のあちこちに運ぶ役割です。
また、脾は水分の運化も行っています。
脾の不調は湿気の害に直結しており、
雨の季節→胃腸を守ることが養生になる、
むくみがひどい→お腹の調子を整える
必要がある、などと考えるのは東洋医学
ではよくあることです。
昇とは身体の下部に溜まりやすい体液を
よく循環させて上に持ち上げたり、
内臓が下がって胃下垂や脱肛などが
起こらないように位置を固定させておく
働きです。
脾は気や血を生成するうえで主要な役割
を果たし”気血生化の源”といわれます。
また統血とは、血が血管の外に漏れない
ようにする作用です。
食欲不振やお腹の張り、水っぽい下痢、
むくみや内臓下垂、内出血しやすい体質
や月経過多の方は脾を補う必要がある
かもしれません。
冷たいものや生もの、味の濃いものや
油っぽいものの摂り過ぎを避けたり、
夕食と翌日の朝食の間を12時間くらい
あけると脾胃が休まり養生になります。
腎の不調は腰下肢のだるさとして現れる
ことがありますが、脾の不調は四肢の
だるさとして現れたりします。
脚だけでなく腕も重だるいときはお腹の
調子に気をつけてくださいね。
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